ガラスや室内の窓やショーケースなど様々なところで使われていますが、一度割れてしまうと元のきれいな状態に戻すことはできません。それゆえ、割れた場合は、新しいものと交換する作業が行われることが一般的です。

割れてしまった場合は、処分をするのにも手間がかかりますし、できることなら再利用できないかと考えている人もいるのではないでしょうか。
そこで、注されているのが自己修復ガラスです。これはどのようなものかというと、割れてしまった場合でも自己朱副能力で元に戻るというもので、東京都の有名大学として知られる東大で開発されたことも話題になりました。
通常では、割れたものは不燃ごみとして処理されることになります。そして、再利用の際には1500度以上もの高温で加熱し溶接するという手間があります。そうした方法なら再利用は可能ですが、材料である珪砂は豊富に存在することもありますし、新しく作ったほうが不純物なども取り除きやすくなります。そうしたこともあり、加熱処理をして、再利用するという方法はあまり選ばれていませんでした。
研究グループが開発した自己修復ガラスは、今までの常識を打ち破るものとなっています。割れた面を室温で押し付けておくと修復・再利用が可能になるとのことです。どのような作り方をしているのかも知りたいところですが、ポリエーテルチオ尿素という高分子の素材が採用されていることが特徴的です。
もともとは、生体分子の表面に強く接着する分子糊と名付けた高分子物質の合成のための中間体とした開発されたものでした。硬くさらさらした手触りの表面であるにかかわらず、破断面を互いに押し付けることで融合するという特徴があることに開発の途中で偶然気づいたのだそうです。
室温圧着で修復することができるので、ガラスの再利用の時のような高い温度は必要ありません。以前からゴムやゲルのような柔らかい材料の一部は、人の組織のように自己修復することが報告されていましたが、固い材料では組織の再構築はできないといわれていました。
分子設計次第ではガラス状態の硬い高分子でさえ、自己修復することがわかったことは、世界的にもかなり意義は大きいといえます。修復能力を検証したところ、室温で1~6時間程度の圧着により、破損前と同等値の強度にまで回復することがわかったのだそうです。
さらに開発が進むことで、自己修復タイプは様々な製品に導入されることが期待できます。リサイクルもしやすいということもあり、リサイクルにかかるエネルギーの抑制にも役立ってくれるのではないでしょうか。