兵庫県立舞子高校環境防災科訪問記
今回、高校としては日本で唯一防災を学ぶ「環境防災科」を
持つ、兵庫県立舞子高校を訪ねました。
舞子高校は、神戸市垂水区の住宅に囲まれた高台にある
美しい学校で、周囲には中学校や高校が立地。
舞子高校の周辺は、地元の人々に「学が丘」と呼ばれ、
愛されているようです。
「防災を考えることは環境を考えること、
環境を守ることは災害を防ぐこと、そして人の命を守ること」
という理念の下、地球的な視野で命をそして環境を考える
若者を育てようとしている、そんな学校を訪れ、
科長の諏訪清二先生と、松尾智也(ともや)さん、
松本容史子(よしこ)さんの二人の在校生にお話を聞きいました。
(諏訪先生に) この学科ができた背景を教えてください。 | |
阪神淡路大震災以後、舞子高校では 被災地にある学校として震災の教訓に学び、 命の大切さや助け合いのすばらしさを考えよう という防災教育に力を入れてきましたが、 それを高校の専門学科としよう というプロジェクトを2000年3月に立ち上げ、 2年間の準備の後2002年4月から スタートしました。この春二代目の 卒業生を送り出したところです。 |
準備のご苦労はどんなところにありましたか? |
準備期間が2年と短かったことですね。 まずは学習指導要領を丁寧にチェックし、 その範囲の中で何ができるかを考えました。 大学の防災関係の研究室を訪問したり 本を買い集めたり、防災関係の会議に 出席したり、実際に防火管理者の資格を 取ったりといろいろなことに取り組みながら カリキュラムを作っていきました。 |
(生徒さんに)この学科を志望したきっかけはなんですか? |
(松尾君)小学校のときに消防署で体験させてもらったこともあり、 将来は消防士になりたいという夢を持っていました。 中学二年のとき、この新しい学科ができたと聞いて、 将来の希望に合った学科だと思い志望しました。 |
(松本さん)私は養護教諭になりたいという希望がありましたので、 それを知っていた母がこの学科ができたことを知って推薦してくれました。 私も阪神淡路大震災以外にも地震体験があり、 もっと地震のことを知ってみようと思いました。 |
印象に残っているカリキュラムはなんですか? | |
(松尾君)校外学習です。 なかでも消防士志望なので、消防学校へ泊り込んで人命救助の訓練や ロープの結紮訓練などができたことです。 |
(松本さん)やはり校外学習です。 救助する側の体験や、被災者側になってみる体験など、 世界でもこの学校でしかできない体験ができる誇りがあります。 あとは、いろいろな経験を持った方が授業に来てくださり、 貴重な話を聞かせてくださることも印象に残っています。 |
他校との交流もあるのですか? | |
(松尾さん)高知東高校とは定期的に交流しています。 一緒に合宿をして、学習して調べたことを話し合ったり、 阪神淡路大震災について話したり、高知東高校からは津波についての話を 聞かせてもらったりしながら交流しました。 | |
(松本さん)愛知県には高校生向けの防災教育セミナーがありますが、 それに参加している高校生とはお互いに行き来する交流があります。 あと、小学校へ防災の授業に行ったりもしています。 |
今後は何を目指したいと思っていますか? | |
(松尾さん)難しいのですが やはり消防士を目指していきたいと思います。 | |
(松本さん)私も養護教諭を目指すのですが、 ボランティア活動にも是非携わっていきたいと 思っています。 |
(先生に)卒業生はどんな活動をされているのですか? | |
福祉関係を学んでいる人、途上国支援をしようと農学部へいった人、 警察官や消防士を目指している人などさまざまです。 共通するのは防災や社会貢献への思いで、途上国の防災教育を支えるグループを 卒業生で作ったり、災害救助犬の育成を目指したり、 徳島県の美波町との防災教育交流を企画している卒業生もいます。 |
どんな社会人になって欲しいという思いをお持ちですか? | |
自分で判断して自分で実行できる人間、ですね。 自分でレールを敷ける、失敗にもめげない、そんな人になってくれればと思います。 あと、防災とはどこかでつながっていて欲しいですね。 できればコーディネーターとして。 |
自分の夢をしっかりと語る若者の目の輝きと、それを見守る先生の温かいまなざしが とても印象的ないい時間でした。 三人の方、本当にありがとうございました。 |