東京医科歯科大学は、大学院・学部学科組織、研究所、病院を有する日本唯一の医療系総合大学院大学です。毎日、敷地の中に連立する高層建築の間を、多くの学生や患者さんたちが行き交っています。
今回は、施設の管理を担当し、安全で快適な環境づくりに努めていらっしゃる施設課の関 剛さんに、研究所2棟の改修時に採用された、エコ合わせガラスについて伺いました。
<エコ合わせガラスデータ>
- 2009年3月
難治疾患研究所 耐震改修時に単板ガラスをエコ合わせガラスに改修 - 2010年3月
生体材料工学研究所 耐震改修時に単板ガラスをエコ合わせガラスに改修
研究に集中できる環境を求めて、防音対策の為に改修したガラスが、結果的には、省エネ効果と地震対策・防犯機能で安全・安心になりました。
きっかけは防音対策。サッシも傷んでいたので、窓ごと取り換えました。
先生や院生が主に研究をしている建物(難治疾患研究所/生体材料工学研究所)を、2年続けて耐震改修しました。その時、電車や車の音がうるさくて実験に集中できない環境を改善するために、その大きな原因となっている窓の改修を優先的に考えました。
築35年くらいの建物ですから、窓は、すきま風や雨漏り、錆、換気のトラブルなどの問題が多い状態でした。
音の効果は全然違います。
今まで会議ができなかった部屋で、まったく音を感じることなく、
会議ができるようになりました。
線路と道路に面した窓のガラスは、防音のための合わせガラスと複層ガラスの組み合わせです。会議室として使えないくらいうるさかった部屋でも、今では窓を閉めるととても静かになり、研究者の皆さんからも喜ばれています。
防犯や地震対策の役目もあるので、結果的には安全で安心です。
改修時に、デッキを設けて室外機を置くことにしました。ここによじのぼられると泥棒に入られてしまいますよね。でも、普段防音のために使っているガラスが、結果的に防犯対策にもなっているから良かったです。
もともと窓で地震対策や防犯対策をするという認識はありませんでしたが、こうして安全対策につながり安心です。
複層ガラスはエコのため。省エネ効果を調べています。
もちろんエコのために複層ガラスにしましたが、今回の改修では、換気システム等も換えたので、総合的な省エネ効果が期待できます。まだ住み始めたばかりなのですが、一年経てば効果が見えてくるのではないでしょうか。
エコ合わせガラスは、効果の高いガラスだけれどコストが問題。
一般流通するような、国の整備を期待します。
病院の方も、合わせガラスにする必要性はよくわかりますが、コストが高いのが難点です。
ビルの場合は窓の面積も大きく、厚いガラスを使用するので値段がケタ違いに高いです。
一般に流通すれば、もっと安くなるはずですよね。予算さえあればできます。国の推奨などで、補助の整備ができることを期待しています。