防弾ガラスとは通常のガラスタイプよりも強化された安全ガラスのことを指し、弾丸を貫通させないこと、防災などを目的にしてつくられています。実際に実用化されたのは第二次世界大戦のころといわれていて、このころには戦車や装甲車ののぞき窓などに使われていたといわれています。当時作られていたものは、ガラスが硬化処理されたものであり、厚さが3センチから6センチほどにして耐久性を高めていたものです。強度が高められたため貫通はしないものの、万が一被弾した場合には、まるで蜘蛛の巣が張ったかのように一瞬にしてひびが入って視界が遮られてしまいます。

また破片が飛び散り内部に被害が出る問題なども挙げられていました。また厚みを作り強度が守られているため、曲面構造を作ることができずに、透明度が低下するので、なかなか視界がクリアにならないなどのデメリットもあったのです。このような厚みや重みなどの問題を解決するために、ガラスの代わりに透明ポリカーボネートと呼ばれるものがつくられましたが、こちらは普及されることはありませんでした。ポリカーボネートとは厚みのあるプラスチックのことを指し、ペットボトルに使われているものといえば分かりやすいでしょう。重さの問題では解消が期待できるものの、視界もゆがみやすく、紫外線を浴びることで劣化や変色などが起こりやすいなどのデメリットがあったのです。
このような問題を解消するためにつくられたものが、ガラスとポリカーボネート、さらにはポリビニルブチラール、ポリウレタンなどをラミネート構造したものです。車のフロントガラスは、飛び石や事故の衝撃により乗っている人を守るために、合わせガラスを使用することが義務付けられています。ガラスとの間には飛散を防止するためのフィルムが入っているのです。防弾ガラスの場合には、飛散防止フィルムを挟み込むだけではなく、プラスチック系の素材によりいくつかの膜を作りだし、衝撃を拡散することによって銃弾を防ぐ効果を出し、さらにはクモの巣のようにひびが広がらないような配慮がなされています。
防弾ガラスの素材において、ポリカーボネートは重要な役割を持っています。内側に使われていますが、その欠点として柔らかく熱や薬剤に弱いということが挙げられます。そのため内側部分を傷つけないように、また熱を加えたり、ガソリンなどの薬剤に触れさせないような配慮が必要となります。外側からの衝撃にも強いものの、内側は繊細でありささいなことで傷ができたり劣化が進んでしまいます。こうなると防弾性能も弱まってしまうため十分な注意が必要です。