ガラスは地震などの災害遭遇時にけがの原因となる危険性を秘めた素材です。防災上の安全性を高くするための努力が結実したのが、合わせガラスと強化ガラスになります。それでは両者の違いや特徴・コストなどにどのような違いがあるのか、御紹介します。

合わせガラスとは、2枚の板ガラスの間にやわらかくて柔軟性に富む特殊なフィルムを挟みこんで加熱圧着したガラスのことです。このガラスの特性は一枚だけで構成されていると、割れると容易に飛散して危険性が高いのに対して、ガラスが特殊フィルムで圧着されているため、万が一地震や事故で破壊されても破片が飛び散ったり脱落するなどのリスクを大幅に軽減できます。日本国内の建物に使用されるガラスには、JISにより安全基準が設定されています。この基準ではガラスは割れないことよりもむしろ、仮に割れてしまったとしても人体に対して負傷のリスクを軽減することの受容性のほうが重視されるべきであるとの姿勢が鮮明にされています。合わせガラスは、飛散が少なく安全性の高さに配慮されているのが特徴です。この点通常の板状ガラスが簡単に鋭利な破片が飛散してしまうのと対照的といえます。
これに対して強化ガラスは、フロート板ガラスを軟化する温度まで過熱したのち表面に空気を吹き付けることで、作られています。この加工により、通常のフロートガラスの3.5倍の強度を獲得するとされています。たしかに強度が高く、割れても細かく粒上に飛散するなど安全性の高さはあります。しかし衝撃を受けた際に脱落したり、強い衝撃ではさすがの強化ガラスでも割れてしまう可能性は否定できません。
このような両者のガラスの特性を踏まえて利用しているのが、自動車メーカーです。自動車のフロントガラスでは合わせガラスが使用されていますが、それ以外の箇所は強化ガラスが使用するといったコンビネーションが一般的です。何よりも安全性が要求されるフロントガラスでは、破損時の飛散のリスクが大きく抑制される合わせガラスが使用されます。
ドライバーだけでなく、後列の同乗者などの安全性も踏まえればフロントガラス素材と統一するのが理想的です。しかしそれではコスト面で非常に高く付くので、フロントガラス以外の箇所では強化ガラスが採用されているわけです。
最近ではガラスについての安全性が高く要求されるようになっていますが、今回ご紹介したガラスがその特性とコストの違いを活用し普及するようになりました。