光学ガラスとは、一定基準を満たす光学的な機能性を持ち合わせた透明感の高いレンズのことです。光学的な特徴・定義としては透過率の波長依存性が少ないこと、屈折率が高いことなどが一例として挙げられます。プリズムに代表されるように、光の屈折・反射によって画像を伝送するための、光学素子の材料となりえる高い均質度を持っていることが条件です。人類で用いられたのは1609年と古く、イタリアで望遠鏡に採用され天体観測が行われました。現代においての一般的な使い方としては、顕微鏡などの光学製品が挙げられます。

ガラスの屈折率は光の波長によって変化し、この現象を分散と呼びます。そのため1枚の凸レンズだけでも実像を結ぶことが可能ではあるものの、像の色がズレる現象である色収差が発生して明瞭に見えません。凹レンズと併用することで、この問題をクリアしたのが最初の頃の望遠鏡とされています。次に問題となるのが球面収差であり、この課題を取り除くために行うのが光学定数の異なるものを数枚組み合わせて解消します。より画像を鮮明に伝送するべく、光学ガラスの種類は時代を追うごとに増えていくこととなりました。
1980年代に入った頃から、球面収差を除去しつつも枚数を減らすために非球面のものを使用するように変化していきます。派生した種類としては屈折率と分散が低めである凸レンズ用のクラウン系と、酸化鉛を含ませて高屈折率および高分散を誇る凹レンズ用のフリント系が代表的です。その後は部分分散の異なるバリウム系が誕生し、ランタン系やリン酸塩系、ホウ酸塩系やフッ化物系といった種類が開発されていきました。
光学ガラスはその精度や特性から、多品種でありつつも少量生産という特徴を持っています。製造する種類ごとに溶融するためのるつぼは分けられ、高均質化させるために撹拌されます。るつぼ材に関しては耐火粘土もしくは白金であり、焙焼炉や高周波炉を利用して製造されることが多いです。ちなみに1970年代あたりから、大量生産を促すために白金炉を用いて連続生産を行うことが一般的です。
なお添加される材料によっては、加工の難度が変化することもあります。一般的に線膨張係数が低いほど加工難度が上昇するとされており、その理由は硬度が変化するからです。さらには硬度に加えて、割れやすさも上昇する点が厄介とされるポイントです。加工における不良の原因の大半はチッピングやハマ欠けといった、微細な欠けです。本来硬くて脆い性質であり添加材料によってこれが増幅されるため、粒度の調整をはじめ砥石の調整が必要となります。