建築家は昔も今も様々なタイプの建築物を創造していますが、2000年代に入ると構造と建築形態が大きく変化します。コンピューターを使った設計では、構造エンジニアリングとビルディング・エンヴェロープに関心が集まるようになります。エンヴェロープには様々な課題と問題があります。建築におけるエンヴェロープの概要について説明します。

コンピューターで環境性能と構造を担保しつつ、建物に美しい価値を持たせます。エンヴェロープとは、内と外を定義するインターフェースです。建物の役割のひとつで、内と外との間に境界を作ります。一般には壁や窓、床など建物の内と外の熱を遮る構造物を指します。ポストモダニズム建築の潮流が去り、建築の世界ではエンヴェロープが新しい表情を見せています。ビルディング・エンヴェロープの素材には様々な素材が使用されていますが、ガラスもそのひとつです。ガラスを利用した先進的で美しいビルディング・エンヴェロープは、世界各地で注目を集めています。
東京では、環境時代のビルディング・エンヴェロープを考えるシンポジウムが開催され好評を博します。シンポジウムにはガラスや外装材、断熱材などの関係者が参加しパネルディスカッションや講演を通して建物の長寿命化や省エネ化などについて話し合っています。ビルディング・エンヴェロープは建物外皮とも呼ばれます。国際エネルギー機関では、省エネルギーが課題となっている建物の分野でエンヴェロープの改良によりエネルギーの消費量を約2割削減できるという報告書をすでに出しています。日本では省エネルギー性能を高めるガラス窓や高性能断熱材、気密性を向上させる新しい技術が次々と登場します。新しく建物を建てる際にゼロエネルギー住宅にすると、コストの削減と地球環境の保全につながります。
日本を含め先進諸国では、既存建物のエネルギー消費を削減するための様々な取り組みが行われています。ガラスの仕様には日射取得型と呼ばれる断熱型と、日射遮蔽型と呼ばれる遮熱型があります。遮断型は日射熱を取り込み外に逃がさない性能を持つので、冬でも日差しを取り込めます。遮断型は日射熱を遮るので、室内の熱を逃さないというメリットがあります。断熱型と遮熱型の特性を活かして設計すると、効率的なエネルギー消費が実現し快適度が増します。使用するガラスの日射熱取得率をダウンロードすると、簡単に外皮計算ができます。ガラスだけでなくサッシ枠の材質や仕様によって効果は変わります。